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5. ニューヨーク到着1日目 JFKに降り立つ [大学入学とアメリカ生活]

ユナイテッド航空 成田発ニューヨーク行きは、ジョンFケネディ国際空港に向け順調に飛行し約10時間のフライトを終え、あと2時間程でランディングする準備を始めていました。早朝、飛行機はハドソン川上流で降下を始め、地上の景色が見えてきました。窓から見えるアメリカ大陸は1月なので全体が凍り付き、真っ白でした。その白い大地には街はほとんどありませんが、道があったり、湖があるのが確認できました。よく見ると道には車が走っています。いったいここはどこだろう。上空からはどの辺りを飛んでいるのか見当がつきませんでしたが、凍り付く大地は気分を不安にさせました。ニューヨークに近づくにつれ少しずつ街の光が増えてきたように感じました。そして着陸直線には高いビル群が見え、大きな橋が迫り、日本では見たことのない美しい都会が出現したのです。あぁ、あれがマンハッタンなんだ。朝日に染まるマンハッタンが見えてから、それまでの不安は吹き飛び、早くこの摩天楼に降り立ちたいと強く強く思いました。

飛行機を降りると、そこは殺風景な廊下が延びていました。イミグレーションには長蛇の列。予備校の同級生2人と一緒にイミグレーションのインタビューを受けました。このとき驚いたことがあります。今まで何年もかけて勉強してきたはずの英語が全く役に立たないとわかったのです。イミグレーションの担当官の発音はとても早く、なまっていたのでした。ユナイテッドのフライトアテンダントの言っていることはわかったのに、ニューヨークに来たら全く違う!このときは慌てましたが、当時のイミグレーションはとてものんきなもので、F-1ビザを見て簡単に入国させてくれました。

ゲートをくぐると、そこには沢山の人種がお客さんや家族を迎えにきていました。名前の書かれたカードを持っているて、自分の目的の人を探していました。私の場合は、父親が勤める会社のニューヨーク支社のスタッフが出迎えにきてくださったのでした。とりあえず、生活を始めるまでは父親が細かなことをアレンジしてくれていたのです。これは精神的にとても助かりました。普通の学生なら、ここからいろいろな辛い局面に遭遇していたことでしょう。私はニューヨーク支社長の車でマンハッタンに向かいました。予備校の同級生もお願いして同乗させてもらったのは当然のことです。

車はマンハッタンに向かって走り始めました。摩天楼は光を浴びて黄金色に光ってたように記憶しています。そのとき、私はとても興奮していたと思います。ビル群が近づき、イーストリバーを越えミッドタウンにさしかかると、出国前に飛行機の小さな窓から一生懸命見ていた「ニューヨーク恋物語」に映っていた街が迫る。そして「恋に落ちて」でロバート・デニーロとメリル・ストリープが出会ったグランド・セントラル駅が見えたのです。やっと夢にまで見たニューヨークに着いたんだ。実感がわいてきたのは、この頃です。

ホテルはミッドタウンのインターコンチネンタル ホテル。父親のアレンジはここまで。今考えると、父親はずいぶん無理をしてくれたんだということがわかります。普段は高級ホテルなんて利用したことがない父親が取引先の三菱銀行にお願いして部屋を確保したそうです。今のように国際電話が安かったりインターネットで割引予約ができたり、日本に予約専用デスクがあったりするような時代ではありません。これが自分の息子を見知らぬ地に送る精一杯の気持ちだったのでしょう。

当時の私はそんなことは気にせず、まあまあ立派なホテルだなあ、くらいの認識でした。ただ、アメリカは怖いという先入観があったせいか、部屋から一歩もでなかったのでした。

部屋からは短い国際電話を2本かけました。1本は両親へ。もう1本は予備校の友人・アキラに。両親は無事ニューヨークについてほっとしていました。友人アキラには部屋からクライスラービルが見えるとか、飛行機が揺れたとかどうでもいい話をしたのを覚えてます。

この友人アキラとは、それから長い付き合いをすることになります。彼はこの日から数日後ロサンゼルスに経ち、デザイナーを目指しますが、西海岸では先が見えないということで、数年後ニューヨークに引っ越してくるのでした。短期間ですがルームメイトとしてよき親友となりました。そして、彼はその後ニューヨークに残り、現在は某有名ブランドのチーフデザイナーとして活躍しています。このブランドのデザイナーが日本人だということは殆ど知られていません。ニューヨークで共に苦労した友人がアメリカンドリームを実現させたことに私はとても誇りを持っています。

自宅と友達に電話をすると急に睡魔が襲ってきました。

ニューヨーク マンハッタンのインターコンチネンタルホテルで私は10時間以上熟睡しました。

88/01/07
2006/03/07rev.
2017/01/10 Rev.


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